今月は前月に続き「生れてきた意味」➁です。
前月のブログ記事「生れてきた意味」①は、下記よりご覧ください。
人は皆、絶対「死」を迎えます。いつか死ぬことを受け入れ、直視して後悔のないように生きようとする覚悟ができた時、より善く生きようとすることができるのだと思います。
「生れてきた意味」は幸せに向かうこと「幸せに向かうには、より善く生きること」と悟るのには随分時間がかかりました。身体の衰えを感じ始めると死ぬことが少しは自然のことと思えるものかもしれませんが、子どもでは自分と死が実感として結びつきにくいです。私の幼少期、学童期の出来事は、子どもだったからこそ、若いからこそ飲み込まれそうな恐怖、不安に囚われてしまったのだと思います。
老年期に差し掛かった今となっては、逆に死なないことの方が怖いとさえ思います。振り返れば苦しさを伴う出来事でしたが、健康体なら普段は特に意識することはないのかもしれない「死」を意識して生きること、つまり必ず訪れる死から「今をどう生きるか」と考えるようになったことはよかったと思います。
幸せとは
「幸せ」とは、何でしょうか。人生は山あり谷あり、時には思いがけないことが起こることもあります。例え絶望的なことが起っても、希望を見失わず前へ前へと進んで行こうとすること。またいろいろなことがあっても、今の日常が続けばいいと思えることではないでしょうか。
より善く生きるとは
では「より善く生きる」とはどういうことなのでしょうか。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスの思想のひとつに、「徳の探求」があります。『徳とは、人間がよく生きるために必要な優れた性質のことです。彼は、正義、勇気、節制、知恵などの徳について探求し、これらの徳を身につけることが幸福な人生につながると考えました。』(出典: マインドマップツール「MindMeister」)徳を積むことがより善く生きることの基本になると思います。私は、それしか幸せになる方法はないとも思っています。
徳について
徳には、世の中の物事は相反する二つのもので成り立っているという中国古代哲学の陰陽の法則によりこれもまた陰徳と陽徳があります。陰徳とは人知れず善い行いをすることです。陽徳とは人に認められようと善い行いをすることです。動機が違うのですが、陰徳も陽徳も、徳には違いはありません。「より善く生きる」はどちらかというと陰徳をさします。見返りを求めるのではなく、自分の内面、人間性を磨いていくことです。徳を積むとはなにも特別なことをするわけではありません。日常的なこと、心掛けひとつでできることですが、言うは易く行うは難しです。
徳を積むという時、もう何十年も前のことですが思い出すことがあります。役所でアルバイトをしていた時のこと、採用されて何年目かの男の人が、毎朝人より早く出勤してきて始業の時間までにトイレを掃除をしていました。ある日たまたま彼を見かけて知ったことです。私にはできないことと感心したのを憶えています。当時の私には、感心はしたものの「ありがとう」のひとことを伝えた記憶はありません。
徳を積むとは
では徳を積むとはどういうことでしょうか。慎み深く生きることです。
① 感謝する
「感謝」と人はよく言います。「ありがとう」と感謝の言葉を相手に伝えることはたいせつです。それ以前にもうひとつ、感謝の対義語は「あたり前」です。例えば自分が「今日在ること」に感謝することです。今日生きていることさえあたり前ではないのですから。
➁責任を果たす
自分がやるべきことをやるということです。最優先することは何かを考えて行動することです。心に余裕をもつためにも、常日頃から慌てふためくことがないように、まめまめしく勤勉にやるべきことを着々とやるしかありません。
➂人の悪口は言わないようにする
言いたくなることもあるかもしれません。人は皆、人のことをよく見ています。行動を見ていたらどういう人かわかるのですから、わざわざあなたが悪口を言うことはありません。その場の雰囲気が悪くなることもありますし、中身が何にせよ悪口を言っているあなたの印象もよいものにはなりません。
④謙虚である
意見を伝えても、自分の考えが正しいという態度は慎まなければなりません。みんな人はその人なりに頑張って生きています。正解はひとつだとも限りません。仮に間違っていても、その人自身が学び、気づいていくことです。
⑤損得で動かない
頭の中で常にそろばんをはじいてるというのではなく、人を思って行動することです。
⑥面倒くさいは禁句です
行動するのにお尻が重い状態はよくありません。
⑦恩を忘れない
人にしてもらった事がすっぽり抜け落ちている人がいます。された事、した事、してしまった事、してもらった事と総合的な視点を持つことがたいせつです。
⑧素直であること
人の意見にも耳を傾けることです。必ずしも受け入れる必要はありません。謙虚に人の話を聞いて学ぶ姿勢を持つことです。
⑨肯定的で前向き
人生にはいろいろなことが起こります。起きたことに対して受け入れ、どうするかを考えられる冷静さはたいせつです。対応を間違ったら起きたことが、それだけでは済まず飛び火して余計に大きくなってしまうことは避けたいです。
➉愚痴を言わない
人生の大半は、人それぞれが選択していくことでつくられていきます。何を選ぼうと、どんなふうに生きようと自由です。その人が選択することです。ただ自分の思い描いていた人生にならなかった時に「自分の選んだ人生」だからと受け入れられずに、さも「人に選ばされた人生」であるかのように思う人は、愚痴が多いのではないでしょうか。そんな人ほど、自分が選んだ人生の為に人に迷惑をかけたり、悪影響を及ぼしたことなど周りの人のことは考えられません。
⑪機嫌よく、心穏やかに過ごす
心に余裕がないとできないことかもしれません。無理をしなければならない時もありますが、できるだけあれもしよう、これもしようと詰め込みすぎないのがいいかもしれません。
徳を積むことは、よりよい人間関係を作っていく心得でもあります。
心掛けよく、徳を積んで生きることは「幸せな人生を送ること」に最も必要なことではないでしょうか。