コロナの時に㉔「時間とは」

子どもの頃楽しい時間を過ごしている時「今、この今、今、今、今」と、この楽しい時間をとどめておきたい、今がずっと続きますようにと心の中で願ったものでした。この楽しい今を心に刻んでおきたかったのでしょう。

 

ひとりっ子のせいかひとりで過ごす時間も好きでした。バスに乗った時には窓から看板を見るのが楽しみでした。次から次へと看板を追っているとあっという間に時間が経ちますが、この楽しい時間がずっと続くといいのにという気持ちは湧いてきませんでした。

 

この時間がずっと続くといいのにという気持ちになる時には、その時間を共に過ごした人がいました。誰かと時間を共有することが、楽しい時間によりたくさんのうきうきワクワクする気持ちを与えてくれるのだと思います。

子どもの頃のうきうきワクワクした気持ちを思い出す時、おとなになった今でもこころが広がったように感じます。

 

おとなになってからはどうでしょうか。

楽しい時間を誰かと共に過ごした時、うれしい気持ちにはなりますが、この今を心に刻んでおきたいような強い気持ちからはどこか遠くなった気がします。

 

おとなになって、今ここにいる自分の目の前にあることをただ楽しむことに集中しにくくなったのかもしれません。あれやこれやとやる事や考える事が多くなって、体も心も忙しくなったせいなのかもしれません。

 

時間の伸び縮み

時間には「物理的な時間」と「感じられる時間」(心理的な時間)があるそうです。

 

「物理的な時間」は時計で計ることができる時間です。1日が24時間、1時間が60分と皆に同じように与えられた時間で、進み方はほぼ同じです。

 

一方「感じられる時間」は、体感される時間の感覚は人それぞれですが、そのひとりひとりの体感によって伸び縮みするような時間です。皆さんにも経験があるように、時間が長く感じられたり短く感じられたりするのはそのためです。

「感じられる時間」

実験心理学者の一川誠先生によると、「感じられる時間」の長短については下記が関わっているとのことです。

 

・身体の代謝 代謝が激しいと時間は長く感じられます。歳を重ねると1日が短く感じられるのは新陳代謝が低下していくからです。

 

・体験した数 出来事の数が多いほど時間は長く感じられます。更にその体験に集中しているかどうかで満足度の高い時間を過ごしているかどうかがわかります。満足度の高い時間とは、過去を振り返った時にいろんなことを思い出せる時間です。ちゃんと生きた時間として思い出されやすく、それが嫌な出来事であったとしても、自分はこういうことで過ごしてきたんだということが思い出されると、そのことで自分をポジティブに評価できるようなので満足度は高いようです。

 

・時間への意識 例えばやり始めてどのくらい経っただろうかと時間を意識すると、時間は長く感じられます。

 

・他の感覚からの影響 視覚や聴覚からの影響を受けます。例えば広い空間、明るい空間、やかましい空間など、受け取る情報量が多い空間の方が時間を長く感じられやすくなります。

 

・感情 例えば恐怖感があると、時間が長く感じられます。

 

【出典 SEIKO『時問時答』実験心理学者の一川誠先生へのインタビュー記事】

限りある持ち時間

私たちは命という「限りある持ち時間」を与えられて生まれてきて、人生という時の流れの中で生きています。時間の使い方はとても重要です。

 

どんな時間の使い方をしたいかは、どんな生き方をしたいかということでもあります。

例えば「社会生活で使う時間」にどんな仕事をするか、どんな仕事の仕方をするか。「プライベートな時間」に誰とどんなふうに過ごすかということです。満足する生き方としての時間の使い方は、「時間」を意識し、やらなければならないこと、やりたいことをしっかりと選び抜いていくしかないのかもしれません。

 

あなたは、限りある持ち時間をどんなふうに使って、どんな時間にしたいですか?

私は、あれもこれもと多くの事をやろうとするよりも「これはほんとうにやりたいことか」「やってもやらなくてもいいことか」と自分に問いかけながら、時間の使い方を絞り込んでいきたいと思っています。やることを少なくすることで、緩やかな時間が流れる気がします。

 

ゆとりある時間の使い方をすることで、できた時間と心の余裕をたいせつな人たちとゆったりとした時間を過ごすことや、時には一見無駄に思えるかもしれない時間に使いたいと思います。改めて時間の使い方を考えてみると、私とプライベートな時間を共に過ごしてくれている人たちに「ありがとう」の気持ちを伝えたくなりました。